福島第1原発において汚染水漏れの報告が相次いでいます。
安倍首相がどんなに強弁しても汚染水はコントロール下にあるとは認められません

 港湾内の汚染水の濃度がよく取り上げられますが、港湾内の海水は海の満ち引きにより数日で入れ替わるので
(東電も「港湾内と外洋を水が行き来していること」を認めています。東電の表現は解かりにくいので困ってしまいます)
当然、港湾内の汚染水の濃度も拡散され下がっていきます。
残念ながら汚染は世界中に拡がっているという事です。

 新聞やテレビなどで汚染水が大変だという報道はよく流れますが、どの程度の濃度であるかとか、どの程度の範囲で漏れているのかということまでは
なかなか把握できません。
ここでは、港湾内に(つまり海に)流れ出る前の福島第1原発施設内での汚染水の現状をなるべく解かり易く解説します。

ストロンチウム90を原発外に放出する際の国の放出基準値は、1リットル当たり30ベクレルです。

 最新の情報として東電は2013年12月2日、福島第1原発1~4号機の海側にある観測用井戸(上図の4.地下水(1~4号機護岸))から
ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり110万ベクレル検出されたと発表しています。
国の基準値の36,666倍の濃度です。12月4日には130万ベクレルに上昇しています。

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 観測地点は海のすぐ近くであり、高濃度の汚染水が流れ出ている事は明らかです。


次に溜まり水の範囲について見てみましょう。

 溜まり水といっても雨が降った時に出来る水たまりみたいなものではありません。
そもそも汚染水とは、事故で溶けた燃料を冷やした水に地下水が混ざり、1日約400トンずつ増えています。
東電は地下にたまった汚染水の一部をくみ上げ、浄化装置で放射性物質を取り除いていますが完全に取り切れないため、敷地内のタンクにため続けています。
現在タンクの総容量は約41万トンで、貯蔵量は既に9割に達する危機的な状況です。

 東電が使用している汚染水タンクは即席式タンクのため、接合部分がゴムパッキンで塞いでいるだけの構造となっています。
プラスチックやゴムなどの有機材料にガンマ線や電子線を照射すると分子鎖が切れることは有名です。
さらにタンクの錆、地盤の悪さ、不完全な施工なども重なりタンクから汚染水が漏れだしています。

 汚染水タンクは数十個ごとにタンクエリアを構成しています。そしてそのエリアごと区画を囲む高さ30センチの堰をもうけています。
この区画内は、タンクからの漏れがなければ、雨水が溜まるだけです。
ですから、東電もこの区画からの排水弁(ドレン弁)を開きっぱなしにしていました。
ところがタンクから汚染水が漏れていたために、雨が降るたびに漏れた高レベル汚染水は洗い流されていたと考えられます。

 排水弁(ドレン弁)から漏れ出た汚染水

 そして汚染された溜まり水は(これももちろん地下水に入り込みさらなる汚染水となります)
汚染水が循環され海へ流れ出るという最悪の事態です。

 高線量の溜まり水が確認された場所を、区画ごとに見てみます。

 この区画の堰内の溜まり水は、ストロンチウムなどの放射性物質が1リットル当たり110から170,000ベクレルと、国の放出基準値、30ベクレルを大幅に
上回る所が殆んどです。
この図にある12区画で溜まり水に問題が無いのはわずか3区画だけです。

B、C、G区画でも、国の放出基準値を上回る場所が2ヶ所あります。

福島第1原発と汚染水タンク群

 放射線防護服を着ても、人が近寄る事も出来ないような区画が多数存在していることになります。
福島第1原発の汚染水漏れの現状は人知を超えたレベルに突入しようとしています。

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